「ながらスマホ」や「歩きスマホ」の交通事故トラブルについて

「ながらスマホ」や「歩きスマホ」とは?

 

最近では、「ながらスマホ」や「歩きスマホ」での交通事故が増加しています。

 

言うまでも無く、スマホを使用した状態での交通事故は、スマホ(スマートフォン)の普及に伴った増加しているというわけです。

 

自動車を運転しながらスマホ(スマートフォン)を操作した状態で交通事故を起こしたケースを「ながらスマホ」と言います。

 

これに対し、交通事故の被害にあった歩行中の被害者等がスマホ(スマートフォン)を操作した状態であったケースを「歩きスマホ」と言います。

 

こういった場合、交通事故の過失割合は、どのように評価されるのでしょうか。

 

ここでは、この点をご説明していきます。

 

 

「ながら・歩きスマホ」の危険性

 

スマホを見ながら運転したり歩行したりすることは、周囲に対する安全意識が低下し、交通事故を招く危険性が高くなります。

 

スマホは、ガラケーなどの携帯電話と異なり、大画面のため、インターネット閲覧や動画やゲームによる画面を注視することが多くなる傾向にあります。

 

また、運転中や歩行中に、スマホ画面で地図を見ていることも増えています。その分、注意力が散漫し、交通事故を起こしやすいということになるわけです。

 

 

「ながらスマホ」は道路交通法違反

 

交通事故を取り締まる基本的な法律は、道路交通法です。

 

交通事故の損害賠償においても、道路交通法の規定は重要視されます。

 

 

道路交通法の71条において、スマホ使用については、次のとおり、禁止、処罰されます。


・自動車や原動機付自転車を運転する際に、通話のために使用すること

  ※ 停止しているときを除きます。

    ※ 傷病者の救護等のため緊急やむを得ないものを除きます。


・自動車や原動機付自転車を運転する際に、表示された画像を注視すること

 


罰則については、次のとおり、法改正により厳しくされました(令和元年12月1日施行)。

 ・使用については、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金

 ・交通事故を起こした場合は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

 

 

では、「ながらスマホ」の過失割合は、どのように評価されるのでしょうか。

 

ながらスマホが道路交通法で禁止されている以上、交通事故を起こした場合、当然、過失割合に影響を及ぼします。


過失割合をどのように評価するか確立した決まりはないのですが、裁判例を見ていくと、10%程度、過失がプラスされることが多くあります。


例えば、ながらスマホでない通常のケースであれば、過失割合が100:0のものが、ながらスマホのケースであれば、過失割合が修正され、90:10になるわけです。

 

 

では、「歩きスマホ」の過失割合は、どのように評価されるのでしょうか。

 

歩きスマホについても、ながらスマホと同様、歩きスマホをしていた歩行者に、過失が10%程度プラスされることがあります。


例えば、歩きスマホでない通常のケースであれば、過失割合が100:0のものが、歩きスマホのケースであれば、過失割合が修正され、90:10になるわけです。

 

 

「ながらスマホ」や「歩きスマホ」の交通事故トラブルについては弁護士に相談すべきです!

 

上記をお読みいただき、過失が10%程度変わるだけであれば、示談を受け入れてしまって良いとお考えになってしまうかもしれません。


通常、交通事故の示談は、物損から先に解決していきます。


物損の示談では賠償額がそれほど高額にならず、10%程度の過失割合が変わるだけだと安易に考えるべきではありません。


物損といえども賠償額が高額になることはありますし、物損で決まった過失割合は、お怪我の人的損害の示談の際にも、そのまま採用されることが通常です。


人的損害が多額に及ぶケースは多くあり、過失が10%程度変わると、賠償額も大きく変わっていきます。ですから、物損の示談の際にも、過失割合は慎重に検討する必要があるわけです。


また、スマホ利用を認めない人や、当初は認めていたが後になって認めない人も、中にはいます。


このような場合、スマホ利用の事実を立証する必要があるのですが、この立証が難しいケースがあります。


このように、「ながらスマホ」や「歩きスマホ」による交通事故では、過失割合が問題となりやすく、通常のケースよりも、弁護士に依頼すべき必要性が高くなってくるというわけです。


「ながらスマホ」や「歩きスマホ」による交通事故にあった場合には、お気軽にご相談ください。