バイク事故における後遺障害等級と慰謝料について弁護士が解説!

 

 

 

他の記事でもご紹介しましたが、バイク事故は、車での事故と違って、二輪走行のために転倒しやすく、

 

また、生身での事故になりますから重症となりやすいという特徴があります。

 

重症になると、同時に、後遺障害が残りやすいという特徴があります。

 

打撲はもちろん、骨折や脱臼、脳に障害が残る、ひいては亡くなってしまうといったケースが後を絶ちません。

 

ここでは、バイク事故の後遺症と慰謝料について重点をおいて、ご説明していきます。

 

 

 

バイク事故の後遺症と後遺障害等級

 

交通事故損害賠償でいう後遺症とは、症状固定時(平たく言うと,治療の効果が上がらず治療終了となった時点)において、症状が回復しないことを言います。

 

すべての症状で後遺障害とされるわけではなく、自賠責の調査事務所に申請して、後遺障害等級に認定されることにより、初めて後遺障害とされます。

 

のちにご説明させていただくとおり、早い段階で弁護士に依頼することをお勧めします。

 

ここでは、今後の見通しのご参考として、バイク事故で発生しうる後遺障害等級について、お怪我の部位を分けて、ご説明します。

 

 

 

 

 

むち打ちの後遺障害等級

 

バイク事故の場合、骨折等を伴うことが多いのですが、同時に、むち打ちといった神経症状が残ることがあります。

 

いわゆる、むち打ちと言っても、後遺障害等級が獲得できないわけではありません。

 

むち打ちは他人から見て分かりにくい症状で画像診断でも判明しないことがありますが、認定された場合には14級とされることが多いです。

 

等級 要件 自賠責の保険金額(※)

12級13号

局部に「頑固な」神経症状を残すもの

224万円

14級9号

局部に神経症状を残すもの

75万円

 

※自賠責での金額であり、裁判基準とは大きく異なります。

 

 

 

頭部(脳)損傷の後遺障害等級

 

バイク事故においては、生身の身体ですから、頭部を損傷することが多くあります。

 

頭部(脳)外傷として考えられるのが、

 

脳挫傷(脳そのものが直接的に損傷する)のほか、

びまん性軸索損傷(脳全体が揺さぶられて広範囲に小さな断裂等が生じる)

硬膜外血腫、くも膜下出血(脳の表面にある膜の間で出血する等)などです。

 

上記の頭部外傷により、重篤な後遺症を残すことがあります。その代表例が高次脳機能障害です。

 

高次脳機能障害は、記憶力、判断力、注意力など認知機能が低下したり、意欲減退、攻撃性・幼稚性の高まりなど社会行動に障害が生じたりする後遺症です。

 

また、バイク事故で脳に重い障害が残り、寝たきりの状態になってしまうことがあります。

 

このような場合には、最も重い後遺障害1級1号(要介護)が認定される可能性が高くあります。介護によりご家族の生活も一変してしまいます。

 

 

〇要介護の場合=別表第1

等級 要件 自賠責の保険金額(※)

1級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、「常に」介護を要するもの

4000万円

2級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、「随時」介護を要するもの

3000万円

 

※自賠責での金額であり、裁判基準とは大きく異なります。

 

 

〇要介護でない場合=別表第2

等級 要件 自賠責の保険金額(※)

3級3号

神経系統の機能又は精神に「著しい」障害を残し、「終身」労務に服することができないもの

2219万円

5級2号

神経系統の機能又は精神に「著しい」障害を残し、「特に軽易な労務以外の」労務に服することができないもの

1574万円

7級4号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、「軽易な労務以外の」労務に服することができないもの

1051万円

9級10号

神経系統の機能又は精神に「障害」を残し、服することができる労務が「相当な程度に制限される」もの

616万円

12級13号

局部に「頑固な」神経症状を残すもの

224万円

14級9号

局部に神経症状を残すもの

75万円

 

※自賠責での金額であり、裁判基準とは大きく異なります。

 

 

 

 

胸腹部臓器の後遺障害等級

 

バイク事故では、事故の衝撃や、身体が飛ばされた衝撃などにより、胸部や腹部を強打することが多くあります。

 

これらにより、内臓にまで損傷が及んでしまうこともあります。

 

胸腹部の各臓器はそれぞれ異なる働き方をしており、厚生労働省の「胸腹部臓器の障害に関する障害等級認定基準について」という指針が参考とされます。

 

 

〇要介護の場合=別表第1

等級 要件 自賠責の保険金額(※)

1級2号

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、「常に」介護を要するもの

4000万円

2級2号

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、「随時」介護を要するもの

3000万円

 

※自賠責での金額であり、裁判基準とは大きく異なります。

 

 

〇要介護でない場合=別表第2

等級 要件 自賠責の保険金額(※)

3級4号

胸腹部臓器の機能に「著しい」障害を残し、「終身」労務に服することができないもの

2219万円

5級3号

胸腹部臓器の機能に「著しい」障害を残し、「特に軽易な労務以外の」労務に服することができないもの

(平均の1/4程度の労働能力しか残されていないもの)

1574万円

7級5号

胸腹部臓器の機能に「障害」を残し、「軽易な労務以外の」労務に服することができないもの

(平均の1/2程度の労働能力しか残されていないもの)

1051万円

7級13号

両側の睾丸を失ったもの

1051万円

9級11号

胸腹部臓器の機能に「障害」を残し、「服することができる労務が相当な程度」に制限されるもの

616万円

9級17号

生殖器に著しい障害を残すもの

616万円

11級10号

胸腹部臓器の機能に「障害」を残し、「労務の遂行に相当な程度の支障」があるもの

331万円

13級11号

胸腹部臓器の機能に「障害」を残すもの

139万円

 

※自賠責での金額であり、裁判基準とは大きく異なります。

 

 

 

 

上肢(腕や手)の後遺障害等級

 

バイク事故では、腕や手を骨折するなどして、神経に影響が残り、関節の可動域が制限されることが多くあります。

 

部位ごとに、それぞれ等級が定められています。

 

肩関節、肘関節、手関節の3大関節の可動域などがあります。

 

等級 要件 自賠責の保険金額(※)

1級4号

両上肢(両腕)の用を全廃したもの

3000万円

5級6号

上肢(片腕)の用を全廃したもの

1574万円

6級6号

上肢(片腕)の3大関節中の2関節の用を廃したもの

1296万円

8級6号

上肢(片腕)の3大関節中の1関節の用を廃したもの

819万円

10級10号

上肢(片腕)の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

461万円

12級6号

上肢(片腕)の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

224万円

 

※自賠責での金額であり、裁判基準とは大きく異なります。

 

 

 

 

上肢(腕や手、指)「切断」の後遺障害

 

バイク事故では、腕や手を骨折するなどして、結果、腕や手、指などを切断するに至ることがあります。

 

部位ごとに、それぞれ等級が定められています。

 

等級 要件 自賠責の保険金額(※)

1級3号

両上肢(両腕)をひじ関節以上で失ったもの

3000万円

2級3号

両上肢(両腕)を手関節以上で失ったもの

2590万円

3級5号

両手の手指の全部を失ったもの

2219万円

4級4号

上肢(片腕)をひじ関節以上で失ったもの

1889万円

6級8号

手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの

1296万円

7級6号

手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの

1051万円

8級3号

手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの

819万円

9級12号

手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの

616万円

11級8号

手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

331万円

12級9号

手のこ指を失ったもの

224万円

13級7号

手のおや指の指骨の一部を失ったもの

139万円

14級6号

手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

75万円

 

※自賠責での金額であり、裁判基準とは大きく異なります。

 

 

 

 

下肢(足)の後遺障害等級

 

バイク事故では、足を骨折するなどして、神経に影響が残り、関節の可動域が制限されることが多くあります。

 

部位ごとに、それぞれ等級が定められています。

 

股関節、膝関節、足関節の3大関節の可動域などがあります。

 

等級 要件 自賠責の保険金額(※)

1級6号

両下肢(両足)の用を全廃したもの

3000万円

5級7号

下肢(片足)の用を全廃したもの

1574万円

6級7号

下肢(片足)の3大関節中の2関節の用を廃したもの

1296万円

8級7号

下肢(片足)の3大関節中の1関節の用を廃したもの

819万円

10級11号

下肢(片足)の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

(人工関節・人工骨頭を挿入置換し可動域が健側の1/2以下になったものは8級7号)

461万円

12級7号

下肢(片足)の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

224万円

 

※自賠責での金額であり、裁判基準とは大きく異なります。

 

 

 

 

下肢(足)「切断」の後遺障害

 

バイク事故は、生身の状態で強い衝撃に遭うわけですから、重傷に至ることが多くあります。

 

車の下敷きになったり、事故後の症状等から、結果として足を切断せざるを得ないということがあります。

 

このような場合も、部位ごとに、それぞれ等級が定められています。

 

等級 要件 自賠責の保険金額(※)

1級5号

両下肢(両足)をひざ関節以上で失ったもの

3000万円

2級4号

両下肢(両足)を足関節以上で失ったもの

2590万円

4級5号

下肢(片足)をひざ関節以上で失ったもの

1889万円

4級7号

両足をリスフラン関節以上で失ったもの

1889万円

5級5号

下肢(片足)を足関節以上で失ったもの

1574万円

7級8号

足をリスフラン関節以上で失ったもの

1051万円

 

※自賠責での金額であり、裁判基準とは大きく異なります。

 


※ひざ関節以上とは

・股関節で寛骨と大腿骨を離断

・股関節とひざ関節の間で切断

・ひざ関節で大腿骨と脛骨および腓骨とを離断


※足関節以上とは

・ひざ関節と足関節の間で切断

・足関節で脛骨および腓骨と距骨とを離断

※リスフラン関節以上とは

・足根骨で切断したもの

・リスフラン関節で中足骨と足根骨を離断

 

 

 

 

外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)・顔の傷痕などの後遺障害

 

バイク事故では、顔面部を地面にぶつけるなどして、顔に傷あとが残ることがあります。

 

とくに半帽ヘルメットやジェットヘルメットなどを着用していた場合には、その可能性が高くなります。

 

程度によって、等級が定められています。

 

等級 要件 自賠責の保険金額(※)

7級12号

外貌(がいぼう)に「著しい」醜状(しゅうじょう)を残すもの

・頭部に手の平大(指の部分は含まない)以上の瘢痕が残ったもの、もしくは頭蓋骨に手の平大以上の欠損があるもの。

・顔面部に鶏卵大面以上の瘢痕が残ったもの、もしくは10円硬貨大以上の組織陥没が残ったもの。

・頸部に手の平大以上の瘢痕が残ったもの。

1051万円

9級16号

外貌(がいぼう)に「相当程度の」醜状(しゅうじょう)を残すもの

・顔面部に長さ5センチメートル以上の線状痕が残ったもの。

616万円

12級14号

外貌(がいぼう)に醜状(しゅうじょう)を残すもの

・頭部に鶏卵面大以上の瘢痕が残ったもの、もしくは頭蓋骨に鶏卵面大以上の欠損が残ったもの。

・顔面部に10円硬貨以上の瘢痕が残ったもの、もしくは長さ3センチメートル以上の線状痕が残ったもの。

・頸部に鶏卵面大以上の瘢痕が残ったもの。

224万円

 

 

 

 

バイク事故の後遺障害申請の方法

 

後遺障害として認定されるためには、申請が必要とされます。

 

手続をしなければ、後遺障害とはされませんから、注意してください。

 

 

 

申請のタイミング

 

申請のタイミングは、「症状固定」となった後です。

 

症状固定と言うのは、これ以上治療を継続しても症状が回復することは無いという状態を指します。

 

具体的にいつ症状固定となるかは、お怪我の状況にもよりますから、医師や弁護士に相談すると良いです。

 

相手方保険会社が不当に早期に症状固定だと判断してくることがありますから、相手方保険会社の主張には注意する必要があります。

 

 

 

手続方法

 

事前認定と被害者請求という2つの手続があります。

 

後遺障害認定の審査は、損害保険料率算出機構という第三者機関が行うのですが、そこに至るまでの手続が2種類あるということです。

 

 

 

事前認定

 

事前認定というのは、相手方任意保険会社が手続してくれるものです。

 

多くの手続を必要とする後遺障害申請のほぼ全てを相手方保険会社が行ってくれることがメリットということができますが、当事務所では絶対にお勧めしません。

 

 

 

被害者請求

 

被害者請求というのは、被害者側が自ら必要書類を準備し、後遺障害申請を行うものです。

 

加害者側を手続に関与させず、逆に、弁護士の意見書を添付したりするなど様々な工夫ができる点がメリットです。

 

 

 

 

バイク事故の後遺障害認定

 

では、後遺障害に認定されることのメリットをご説明します。

 

後遺障害に認定されることにより、相手方に請求できる損害項目が2つ増えます。具体的には、後遺障害慰謝料と、後遺症逸失利益です。

 

後遺障害慰謝料

 

怪我を負わされて入院や通院させられた傷害慰謝料とは別に、後遺症を負わされたことについての精神的損害(慰謝料)を請求可能となります。

 

 

後遺症逸失利益

 

後遺症を負わされたことにより、今までできていた仕事の一部ができなくなりますから、その分の将来の収入保障とお考えいただくと分かりやすいかと思います。

 

 

 

バイク事故の後遺障害慰謝料

 

後遺障害等級に認定されると、後遺障害慰謝料を請求することが可能となります。

 

後遺障害慰謝料も等級によって異なります。

 

ここで注意しなければならない点は、自賠責基準、保険会社基準、裁判(弁護士)基準の3つの基準があることです。

 

後遺障害等級に認定されれば、自賠責基準での支払がされます。

 

その後、相手方保険会社から自賠責基準を上回る示談の提案がされることがあります。

 

しかし、これらの基準は裁判(弁護士)基準に比べ、極めて低い金額です。

 

後遺障害等級に認定されれば、ある程度のまとまった賠償金が支払われますから、保険会社からの提案に承諾してしまいがちですが、安易に応じないでください。

 

示談書や免責証書にサインしないようにしましょう。

 

ご参考までに、自賠責基準の後遺障害慰謝料と、裁判(弁護士)基準の後遺障害慰謝料を比較した表を作成しました。

 

その差の大きさに驚かれることと思います。

 

等級 自賠責基準 裁判(弁護士)基準

1級

1150万円 2800万円

2級

998万円 2370万円

3級

861万円 1990万円

4級

737万円 1670万円

5級

618万円 1400万円

6級

512万円 1180万円

7級

419万円

1000万円

8級

331万円

830万円

9級

249万円

690万円

10級

190万円

550万円

11級

136万円

420万円

12級

94万円

290万円

13級

57万円

180万円

14級

32万円

110万円

 

 

 

 

バイク事故の後遺症逸失利益

 

バイク事故により後遺症を負わされた場合、今までできていた仕事の一部ができなくなり、その分の将来の収入が減ってしまうことになります。

 

そこで、後遺障害等級に認定されると、後遺症逸失利益という損害を請求できることが可能となります。

 

失われた将来の収入の保障とお考えいただくと分かりやすいかと思います。

 

 

後遺症逸失利益は、次の計算式で算定されます。

 

①年収×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間に応じた中間利息控除係数

 

 

①年収は、事故前の収入を参考として、算定します。

 

②労働能力喪失率は、どの程度お仕事ができなくなってしまったか等から判断します。

 

自賠責の基準が参考とされることが多いですから、一覧にしておきました。

 

等級

労働能力喪失率(自賠責)

1級

100%

2級

100%

3級

100%

4級

92%

5級

79%

6級

67%

7級

56%

8級

45%

9級

35%

10級

27%

11級

20%

12級

14%

13級

9%

14級

5%

 

 

 

バイク事故を弁護士に依頼するメリット

 

事故の被害にあった場合、お身体のことやお仕事のこと、ご家族のことなど、たくさんの不安を抱えることになろうかと思います。

 

損害賠償についても、相手方保険会社とのやり取りに嫌気がさす、後遺障害の申請をしようと思うが詳細が分からない、保険会社から示談の提案があったが応じて良いのか分からないなど、多くの不安をお抱えだと思います。

 

当事務所としては、バイク事故を弁護士に依頼するメリットは、主に次の点にあると考えています。

 

 

 

相手方保険会社との交渉

 

相手方保険会社とのやり取りは、すべて当事務所がお引き受けしますから、交渉等のストレスから解放されます。

 

 

 

後遺障害等級獲得に向けた準備が可能となる

 

後遺障害等級を申請する段階よりも前にご依頼いただくと、適宜のタイミングで等級獲得に向けたアドバイスが可能となり、適切な等級獲得が可能となります。

 

 

後遺障害申請において被害者請求を一任できる

 

後遺障害申請において最も重要なものは、医師が作成する後遺障害診断書ですが、この後遺障害診断書に記載漏れがあったり、必要事項が正しく記載されていないことが、実は多くあります。

 

当事務所では、後遺障害申請の前に、必ず、弁護士がチェックしますから、記載漏れ等を防ぐことが可能となります。

 

また、医療記録からは分からない補足情報等を弁護士意見書として提出しますから、必要な情報を漏れなく調査事務所に伝えることが実現します。

 

 

示談交渉も一任できる

 

一般の方が、プロである保険会社担当者と交渉することは難しいと言ってよいと思います。

 

当事務所では、裁判(弁護士)基準による損害賠償請求をし、適切な金額まで増額させます。

 

当事務所では、ほぼ全ての案件で、増額が実現しています。

 

一度、お気軽に当事務所までお問い合わせいただけると、幸いです。