あおり運転と過失割合について

 

 

 

あおり運転とは?

 

最近は、ある事故が引き金となって、あおり運転が世間で話題になっています。

 

近年、あおり運転に対する罰則も設けられました(道路交通法第117条の2の2第11号)。

 

交通事故としては、後方からのあおり運転され、急ブレーキを踏んだところ、後ろから追突されてしまったというケースが増えています。

 

後ろから追突された場合、前を走っていた車の過失は、基本的にはゼロとされます。

 

したがって、後ろから、あおられていた場合についても、前を走っていた車の過失は、基本的にゼロと言えます。

 

ところが、前を走っていた車が急ブレーキを踏んだような場合など、前を走っていた車に過失が認定されてしまうケースがあります。

 

ここでは、まず追突事故の過失割合をご説明し、その上で、あおり運転と過失割合について触れていきたいと思います。

 

 

追突事故の過失割合

 

追突事故では、追突した側に100%の過失があるとされるのが基本です。

 

道路交通法26条1項により、後方車両は、前方車両が急停止した場合でも追突を避けるための距離を置いて走行しなければならないとされています。

 

後方車両は、十分な車間距離を置かなければならないのです。

 

これは、前方車両は、後続車両が追突してくることを回避できないことを理由としています。

 

したがって、追突事故では、追突した側に100%の過失があることとされるのです。

 

もっとも、追突事故でも、追突された側(前方車両)に過失が認定される場合があります。

 

追突された側(前方車両)にも過失が認定されるケースの具体例は、次のような場合です。

①追突された側(前方車両)にも道路交通法違反になるような急ブレーキがあった場合

※例えば、不要な急ブレーキを踏んだ、理由もなく急ブレーキをかけた、目の前に小動物が飛び出してきた(人ではないという意味です)、信号の見間違いに直前で気付いた、道を間違えたことに気付いたなどです。

 

②高速道路での交通事故の場合

※高速道路では、止まってはならないのが基本だからです。

 

③前方車両のブレーキランプが壊れていた場合

 

 

あおり運転と過失割合

 

冒頭に記載したとおり、あおり運転の被害にあった前方車両は、過失ゼロが基本です。
 

ただし、あおられたために、後方車両を驚かせてやろうと思って、急ブレーキを踏んだようなケースの場合、前方車両にも過失が認定されることがあります。

 

不要な急ブレーキだからです。

 

また、高速道路でのあおり運転でも、前方車両に過失が認定されることもあり得ます。高速道路では、止まってはならないのが基本だからです。

 

あおり運転を受けた場合は、落ち着いて、先に行かせてしまうだとか、駐車場に車を停止させるなどするのが賢明と言えます。

 

 

あおり運転の交通事故トラブルについては弁護士に相談すべき

 

過失割合が少しだけしか変わらないのであれば、示談を受け入れてしまって良いとお考えになってしまうかもしれません。

 

通常、交通事故の示談は、物損から先に解決していきます。

 

物損の示談では賠償額がそれほど高額にならず、10%程度の過失割合が変わるだけだと安易に考えるべきではありません。

 

物損といえども賠償額が高額になることはありますし、物損で決まった過失割合は、お怪我の人的損害の示談の際にも、そのまま採用されることが通常です。

 

人的損害が多額に及ぶケースは多くあり、過失が10%程度変わると、賠償額も大きく変わっていきます。ですから、物損の示談の際にも、過失割合は慎重に検討する必要があるわけです。

 

また、あおり運転を認めない人や、当初は認めていたが後になって認めない人も、中にはいます。

 

このような場合、あおり運転の事実を立証する必要があるのですが、この立証が難しいケースがあります。

 

このように、あおり運転による交通事故では、過失割合が問題となりやすく、通常のケースよりも、弁護士に依頼すべき必要性が高くなってくるというわけです。

 

あおり運転による交通事故にあった場合には、お気軽にご相談ください。