死亡事故の逸失利益-故人の収入をどう計算する?
死亡事故の逸失利益とは、交通事故にあった被害者が、交通事故によって得られなくなった、将来得られたであろう収入のことです。例えば30歳の男性サラリーマンの場合、67歳までの残り37年間で得られたであろう収入の推計が逸失利益として損害額に加えられます。
【死亡事故による逸失利益の計算方法】
①被害者の年収 × ②「1-生活控除率」 × ③就労可能年数に対するライプニッツ係数
①被害者の年収
【死亡事故の逸失利益の計算における年収】
職業によって異なる考え方が採用されています。
1.給与所得者
事故前の現実の税込み収入額で算定するのが原則です(本給だけでなく、諸手当や賞与等を含みます。)
2.事業所得者
事故前の収入額(または事業収入中に占める本人の寄与分)で算定するのが原則です。
3.家事従事者
賃金センサスの女子労働者の全年齢平均賃金で算定するのが原則です。
4.幼児・学生など
男子は、男性労働者の全年齢平均賃金で算定するのが原則です。
年少女性は、全労働者の全年齢平均賃金やその他の女性労働者の全年齢平均賃金で算定するのが原則です。
5.無職者
男子または女子労働者の平均賃金(年齢別または全年齢)で算定するのが原則です。
②生活費の控除率
死亡により亡くなった方の生活費がかからなくなるため、損害額(逸失利益)から、その分が控除される(差し引かれる)ということです。
控除率は次のとおりとされます。そのパーセンテージを1から差し引いて計算します。
・一家の支柱の方の場合:30~40%
・女子(主婦・独身・幼児を含む):30~40%
・男子(独身・幼児を含む):50%
③就労可能年数に対するライプニッツ係数
中間利息控除率と呼ばれるものです。少し難しい概念ですが、逸失利益は将来得られたはずの利益を損害として今すぐに一括で受け取るわけですから、今すぐに一括で受け取ることの利益が損害から控除される(差し引かれる)こととなります。
この中間利息控除率は、就労可能年数に応じて、計算されます。
就労可能年数は、67歳までとするのが原則です。
職業によっては70歳までとされる場合があります。
55歳以上の高齢者(主婦を含みます)については、67歳までの年数または平均余命の2分の1の長い方で算定します。