過失割合に納得いかない

100対0なのか?90対10なのか?

交通事故は常に一方当事者の過失により起こるわけではなく、場合によっては被害者側にも過失があるケースがあります。
このように被害者側にも過失がある場合に、加害者側と被害者側の過失の割合に応じて、被害者側の過失を損害賠償金額から差し引いて賠償することを「過失相殺」といいます。

 

一般的には、動いている車両同士の交通事故であれば、原告として一方の過失がゼロということは稀といえます。

 

保険会社の論理

 

では、保険会社は、どのようにして過失の割合を決めているのでしょうか。
この点、基本的過失割合を導き出し、ここから修正要素によって修正をかけます。

 

基本的過失割合と修正要素は、判例タイムズ社が出版している「別冊判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率認定基準」という書籍に詳細な記載があります。

 

当該交通事故と状況が最も近い図を探し、そこに記載されている割合により「基本的過失割合」を定めます。
例えば、交差点内の直進バイクと右折自動車の事故は、基本的過失割合が85対15と定められています(バイクが15です。)。

 

そして、例えば右折の合図を出していなかっただとか、時速15kmの速度違反があったなどという個々の修正要素を加味して、基本的過失割合を修正します。
弁護士が使用する基準や裁判実務でも上記「別冊判例タイムズ38」に基づいて過失割合が判断されます。

 

保険会社の主張する過失割合は正しくないことも

しかし、保険会社が基本的に同じ考え方に基づいて過失割合を算定しようとしたとしても、そもそも基本的過失割合が適用される図が正しく選択されているか、また、修正要素が正しく用いられているかなどの点で、必ずしも正しい過失割合が認定されているとは限らないわけです。

このようにして、過失割合が争点となってくるのです。

 

弁護士が介入する場合、基本的過失割合が正しいかどうかは、事故直後に警察官が作成する実況見分調書等により判断します。
実況見分調書等を入手することは一般の方には難しいかと思いますが、弁護士であればこれらを入手することができます。

 

そして、個々の修正要素については、車両の傷のつき方、目撃者の供述調書、ドライブレコーダーや防犯カメラ、救急出動報告書などの様々な証拠資料から把握していきます。

 

過失割合で保険会社と争いになっている場合は、早期に弁護士に相談しましょう。